59話「してないですよ」
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前回千夏先輩からポカリの差し入れを貰った大喜。
「汗もあんなにかいてたし、栄養補給しないとね。」
「お恥ずかしいところを…」
「そんなことないよ。かっこよかったよ。」
その素直な言葉に思わず照れてしまう大喜。
「ありがとうございます。けど、勝ったのは千夏先輩のおかげもあるというか。千夏先輩の頑張る姿をみて、俺もやれたことがたくさんあると思うので。これからも千夏先輩を見習って頑張りますよ!」
大喜も負けじと素直な気持ちを伝えるのでした。
ふと、文化祭の練習をする吹奏楽部の演奏が聞こえてきます。それに合わせて、千夏先輩が歌を口ずさみますが…
「千夏先輩って意外と、歌苦手...」
「わざわざ言わなくてもいいでしょ!!」
「すみませんすみません」
「大喜くんは歌上手いの?」
「普通ですよ。蝶野さんが上手いんですよね。」
「確かにうまそう。そういえば、蝶野さんも観に来てたよ。」
「ああ、劇の練習の合間に来るって…」
と、とたんにあの時のキス未遂のことを思い出してしまう大喜。それをごまかそうと、自分を落ち着けます。
「劇の方は順調?大道具つくってるのは見たけど…」
「一応形には。アレンジ入れてるのもなかなか面白いので…」
「キスって」
「してないですよ!?」
突然キスの話を振られ、落ち着こうとしていたのに動揺してしまう大喜。
「えっ。」
「あっ」
「劇でどうするのかなって思ったんだけど…」
「あっ、えっ、ふりですよフリ!あ、俺戻らないと!」
慌てふためいたまま走り去る大喜の背中を、物憂げな瞳で見送る千夏先輩でした。
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「遊佐君。これ忘れ物。遊佐君のだよね」
佐知川が帰ろうとするところに、財布を持っていく大喜。
「いのまた君。って、動物の猪に股関節の股?」
と、突然遊佐君が言います。
「そうだけど…」
「俺漢字変換しないと、名前とか覚えられないんだよね。じゃあ、また。猪俣君。」
そう言ってすぐに去りますが、しっかり名前を覚えた遊佐君でした。
一方体育館内では、一人片づけをする針生先輩が。
「ほっといていいよ。針生さっき、遊佐君に敗けて虫の居所悪いから。」
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その日の夜、大喜はご飯を食べる前につかれて就寝。その時の夢で―
【優勝は栄明高校、猪俣大喜選手だ!】
「負けたよ猪俣君、君の完全勝利だ。」
そういうのは遊佐君。
「優勝おめでとう。かっこよかったよ。」
「ありがとうございます。」
そこに千夏先輩が現れて。
「じゃあ、お祝いのチュー。」
「はぁ!?ちょ、まずいですよ千夏先ぱ…」
「そうはさせないんだから!」
「雛!?」
そこで目が覚めた大喜は、なんて夢だと一人悶えるのでした。
59話感想
千夏先輩との心地よいトーク、遊佐君とのライバル関係、針生先輩の描写、最後の夢。Cカラーらしい、きれいなお話でしたね。しかし、今回のカラー絵は、以前に千夏先輩が駅のホームに立っているカラー絵と逆の、雛が駅のホームに立つ絵。にもかかわらず、悲しいほどに少ししか登場しない雛。頑張れサブヒロイン。
千夏先輩は、完全に大喜のことが好きでしょうね。なんで王子役の子が女の子ってしってるんだっけ、前に言ってたかな?とにかく文化祭は雛の最後の抵抗の場かもしれないので頑張ってほしい。
そして個人的に好きなバドパート。遊佐君と大喜の関係はとてもいいですね。一方針生先輩は不穏な様子。なぜ敗けてしまったのか…花恋さんともひと悶着ありそうです。あのカップルも素敵なので描写が増えることを願います!
さあ、文化祭はどうなるのか。雛が頑張るか、千夏先輩は何をするのか。大喜はどうなっていくのか。次週も期待ですね。
それではまた!
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