87話「言い訳と正論」
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―ほんとにやめるの?あの子は?ほら、B組の鹿野さん?ずっと一緒にバスケやってたんでしょ?
―どうでもいいよ。昔からユメカユメカって、嫌いだった。
そんな夢から醒めた千夏先輩で始まる今回のおはなし。過去にあった出来事のようでした。
今日もアオのハコでは、大喜や千夏先輩たちが必死に練習しています。
千夏先輩は、もっとうまくならなきゃ、とユメカを思い出しながら考えています。と、休憩で大喜とアイコンタクト。その張り詰めた気持ちを上手く切り替えられたようでした。その日の帰り、大喜は一人で考えます。
千夏先輩とユメカ先輩は、どうしてああなってしまったのか。すると、道すがら、なんと小さい子とバスケをするユメカと遭遇しました。
「普通にバスケしてるんかい!」
思わず突っ込んでしまう大喜。
「たまにやってるんですか」
「遊びだから。」
「皆行ってましたよ。夢佳さんは天才だって。」
「はは、他の人にはそう見えるんだね。」
「まあ確かに人より物覚えはいいし、ボールを思うままに操れたけど…だけど…世の中には、私よりすごい人なんて、ごまんといるんだよ。」
「君は思ったことないの?このまま部活だけをして、進路どうしようって。こんなにつらい練習を日々続けて。何になるんだろうって。プロになれるわけでもない。わざわざそんなところで、頑張る必要ある?」
夢佳はそういいます。その言葉に大喜は、
「何の言い訳をしてるんですか?」
はっきりそう返します。
「だってそんなの、最初からわかってたことじゃないですか。それでも目の前の一勝、一球を負うのが楽しいからやってたんじゃないんですか?」
「他人がどうとか他のものに目が行くって。だったらなおさら、やめなければよかったのに。高校でいくらでも挽回できたでしょ。自分より上がいるなんて当たり前なんですよ。けどそこじゃない。そこじゃないんですよ。」
大喜の正論に、夢佳は―
パシン。
思いっきり大喜のほほを叩くのでした。
「客観的に見れば、いくらでも正論言えるよね。」
次回に続きます。
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