今週もアオのハコ、レビューしていきます!
前回のあらすじはこちらから!
23話
冒頭、ラケットのガットで遊んでいる、前回初登場したキャラクター、遊佐君。
そこへ同じ高校の先輩が、「遊んでないで試合見て勉強しろ」と話しかけてきます。
その試合というのが、佐知川対栄明、兵藤さんのペアと、大喜針生先輩ペアとの試合でした。
試合は大喜たちがダブルスコア近く差をつけられている展開。しかし、遊佐は「スコアほどの差はない」と言います。
そういう通り、大喜は全国レベル相手に懸命に食らいついています。大喜の足りないところも針生先輩がサポートし、息のあったペア。見ている佐知川高校も、「確かにあの一年もかなり粘ってるな」と評していました。
がしかし、大喜が決定機のスマッシュをアウトしてしまったこともあり、結局―。
そしてシーンは切り替わり、猪俣家に帰ってくる千夏先輩。
「千夏ちゃんお帰り。決勝進出おめでとう。明日の決勝も頑張ってね!」
大喜のお母さんにそう声をかけられます。
「あの、今日大喜君は…」
そう聞く千夏先輩。
「…負けたみたい」
結局、力及ばず負けてしまったのでした。
なんと声をかけようか迷う千夏先輩。ですが、大喜は居間で座ったまま寝てしまっていました。
一年生なんだしとか
シングルスがあるよとか
そういう慰めは違うんだろうな
ただ…
前に言ってしまったことから(まだ来年がある、と言う台詞)そう思う先輩。
と、大喜のノートに書かれた、ある文字を見つけます。
「スマッシュを絶対入れる!」
負けたことで立ち止まってられなんかいられない、そんな力強い文字でした。
「そうだよね。後ろ向きになる人じゃないよね。」
その言葉を見て、そう思う千夏先輩でした。
しばらくして目覚めた大喜。
ノートには、自分の知らない言葉が書き足されていて。
「私もシュート絶対入れる!」
それは紛れもなく、千夏先輩の言葉。
文字にすらパワーがある、と感じた大喜でした。
さて、いよいよシングルス。
「いいか大喜。俺と当たるのは決勝。その前にお前は準決で兵藤さんを倒さないといけない。ダブルスで負けたとは言え…」
「大丈夫です。全力で勝ちに行くだけなんで!」
昨日の敗戦で弱気になったかもしれないと心配した針生先輩に、そう元気に答えた大喜。
勝つことだけを考え、まずは一回戦に望みます。
そして―
初戦。相手は佐知川の遊佐。さあ、いよいよシングルス。大喜はどこまでいけるのか―
「21-11,21-13、佐知川高校遊佐くん。」
あっけなく、圧倒的に、あっさりと。
大喜のインターハイは、終わりを告げられたのでした。
感想
僕がこの漫画に求めていたのは、「千夏先輩と雛可愛いな。」と、「青春っていいな」だけでした。
それだけで毎週感想を書くほどに好きになり、単行本を買うほど好きな作品でした。
しかし今日、今週の話。一気に、この漫画が熱を持ちました。
先週の「大喜一本!」みたいな描写が定期的にあれば満足でしたし、試合描写が短くてもまあ仕方ないか、くらいに思っていました。未だに一話全て試合に使った回はありませんしね。
で、今回。今まで積み上げてきた大喜の努力が、一話で、粉々にくだけ散りました。
僕もスポーツをやっていたからわかりますが、努力と結果は必ずしも比例しません。
ただこの作品は漫画ですから、負けるにしても熱い見せ場をつくって、手に汗握る展開をつくって、負けるものだとばかり思っていました。
ですが、その「創作物」に対する先入観を、今日僕は捨てざるを得なくなりました。
あれだけ頑張ってきて、一話で二つの大きな試合が終わったんです。
現実の残酷さをそのまま描写しているかのように。淡々と。
もうね、衝撃でしたよ。この作者さんは、「読者にストレスを与えない」をポリシーのひとつにしている節があって、物語の構成は、味気なさはありつつもとても丁寧でした。よく言えば王道、悪く言えば起伏がない。
だからこのインハイも、良いところまで行って負ける、という定石を踏んでくるとばかり思っていました。
で、今回ですよ。何回も言いますけど。ハッキリ言って、感動しました。
まあ穿った見方をするのであれば、「熱い展開を描ききる技量がなかった」「スポーツ重視にして人気が落ちるのを避けた」とも取れるかもしれませんが。
あんなにあっさり、物語性序盤の最大の見せ場を終わらせるなんて。と思いました。同時に、何て生々しいんだろうと。
どれだけ練習を重ねても、本当に一瞬なんですよね。試合。本番。
それがあまりにも普通に描かれていたことに、しかもこれまでの展開から描いたことに、僕は感銘を受けました。もう最高ですよ。この描写が、来年再来年のインハイに繋がるんですよ。マジで。
僕は今日の回で、この漫画はすごいものになると確信しました。そのくらい、良い話でした。こう、言葉にならないほどの衝撃回でした。
来週は雛のお弁当ターン?それとも千夏先輩の試合?とにかく、楽しみすぎます。
しかし千夏先輩がインハイ行けるか行けないか、本当にわかんなくなってきた…
それではまた次週!
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