前回のお話はこちらから!
50話「ずるい女」
冒頭、雛が劇の練習をしているシーン。少し突っかかりつつも、堂々と演技する姿に、大喜を含むクラスメートたちも称賛のまなざし。そして、匡くんは弟たちの雑巾やらを塗った経験を活かし、衣装担当になっているようでした。また、大喜はクラスの雑用代表として、いろいろな雑務をこなします。
その一環として購買へ道具を買いに行くと、千夏先輩と遭遇することに。「おはよう」とあいさつを交わしてから、今日は朝練でも言ったよ、と千夏先輩。
「千夏先輩のクラスは喫茶店でしたっけ?」
「うん、ウェイトレスの衣装とか凝ってるよ。私は接客はしない予定だけど。」
その姿の千夏先輩を見たい気持ちと、見せたくない気持ちがせめぎあう大喜。
「大喜くんのクラスは白雪姫だっけ。蝶野さんが主役で。」
「俺も全体見る役なんで、劇には出ないですけどね。」
「え、王子役なのかと思った。」
そんな話をする二人。と、そこに雛たち大喜クラスの女子がやってきます。こんにちは、とあいさつを交わす蝶鹿。千夏先輩はじゃあと去りますが、大喜が雛たちと話すのを、振り返って見つめるのでした。
夜、千夏先輩とお母さんのマンスリーマンション。千夏先輩は一人ドラマを見ています。その内容は、二人の女による男の取り合い。どうやらあまり恋心が強くない一人が仕事を理由に近づき、思わせぶりな態度をとることに、もう一人の想いが強い方の女性が怒っているよう。
その状況は、まるで大喜に想いを寄せる雛の存在を知りながら、一緒に海へ行くなどする千夏先輩自身のようでした。そんな前者の女性に、「ずるい女」と苦言を呈す千夏先輩のお母さん。お母さんはまさか千夏先輩がそんな状況にあるとは知りませんが、先輩の心にはずしりと響きます。
「そう思うでしょ?」と同意を求められ、「うん」と生返事をして風呂へ向かう千夏先輩。
―私、ずるい人なんだって。蝶野さんが、大喜君のこと好きって知ってるのに…
―だけど、あの時。まだ付き合ってなかったんだって…
そう、一人悩む千夏先輩。大喜はそんなことを知らず、自室で一人先輩に連絡するかしないか悩んでいるのでした。
アオのハコ50話感想
今回は、というかここ最近は、千夏先輩の心情がはっきりと描かれ始めています。今まで、この漫画は千夏先輩の心情を意図的に描写せずに進めている部分がありました。しかしながら、その方針を転換、千夏先輩の内面を描くことで物語の深くまで入り込むことができるようになっています。
一方、雛の方の描写は控えめ。この作品は、よくあるハーレムもののように、どんどんヒロインを描写していってレースをするものではないので、描写の割き方も均一ではないのがリアルです。
今回の注目は、千夏先輩の嫉妬心や、大喜への想いが日に日に強くなっているのが感じられる描写。どう考えても恋心だと思いますが、千夏先輩には心理的なハードルがいくつか存在しています。
- 部活
- 同居
- 雛
この三つですね。
1は全国大会という目標、さらに自分のミスで先輩を引退させてしまったという後悔、そしてキャプテンという責任。どこをとっても、千夏先輩の性格からして、「よし、恋愛するか」とはいかなそう。
2は、現在一時的に解消されていますが、それがどう動くかはまだわかりません。少し前にわだかまりの解消もあったようで、このハードルは超えられるものかもしれないですね。
3は、恋愛の王道です。ポイントは、千夏先輩が雛の気持ちに完全に気づいており、自分は引きのスタンスをとっていること。これが千夏先輩自身も攻めの姿勢を持っていれば話はシンプルなのですが…上手くはいきませんね。
今後文化祭で雛がさらに攻めることはあるのでしょうか。大喜まで舞台装置になっている感じが否めませんので、そこは主人公としての魅力がもう少し見られるといいですね!
それでは、また次週。
次のお話はこちらから!
コメント