アオのハコ74話
千夏先輩と共におばあちゃんを家に送り届けた大喜。そこで「彼氏じゃないのかい?」というようなことを言われて慌てつつも、無事に帰ってくることができました。
しかし、宿舎で大喜は一人悶絶。それを見た匡は「なんかあったな」と思うのでした。
次の日もいつも通り練習を重ねる大喜たち。菖蒲がバド部員をほめちぎり、無自覚に粉を振りかける魔性ぶりが見られたこと以外は特に変わったこともありません。
そこへ、練習を終えた雛たち新体操部が戻ってきました。チラリと大喜を見た雛に、「会えてよかったね」とからかう友達。
そして、キャンプファイヤーのジンクスを持ち出し、「告白の返事、聞かないの?」と問いかけます。
しかし雛は、
「私が大喜を好きになってくれるまで、返事はいらないの」
きっぱりそう宣言するのでした。
アオのハコ75話
返事はいらないの、と言いつつ、大喜を目で追ってしまう雛。その大喜が見つめるのは、千夏先輩。それを見て、切なくなってしまうのは必然。
―最初から分かってたから、このくらいなんともないもんね!だって、辛いことだけじゃない。告白したときの、豆鉄砲食らったみたいな顔はとても愉快だったし、私が大喜振り向かせ大作戦で、大喜が赤くなってくれたりすると、
ぶわぁぁぁって、心の中でチビ雛が、小躍りする。
白雪姫だって、大喜が王子役だったらって妄想したりもしたし、本当にそうなったときは緊張でどうにかなりそうだったけど。私はあの光景を、一生忘れない。
もし本当に付き合ったら、どんな感じなんだろう。一緒に帰ったりしたいな。時間あればカラオケ行ったり、写真もいっぱい撮りたい。手だってつないで……………
ああ。感情がジェットコースターってこのことですね。
「肉ならまだだぞ」
「そんなに食いしん坊じゃないもん!」
―好き、ってあんまり口に出すと、大喜困らせちゃうよね?でも攻めないと勝てないから、この関係も利用する。こっち見て、親友から進化して。あしたから、来週か、来月か…
私はいつまでも待つから
そんな二人を見やる菖蒲は、「仲のいいことで」と楽しそう。その隣にいた匡が、話しかけます。
「守屋さん相手振り回してそうだよね」
「そんなことないけどそうだとしても、それでいいって人と付き合ってるから。恋愛って、圧倒的に好かれるほうが幸せだよね。」
「じゃあ空いてる側はどうやって幸せになるの?」
「え?」
「守屋さんって、告白されてもあまり長続きしていないよね。失礼だけど…説得力ないよね。」
そして、キャンプファイヤーが始まります。
アオのハコ76話
丁度キャンプファイヤーが始まったころ、上着を取りに体育館へ戻った大喜を見かけた菖蒲は、雛にも適当な嘘をついて体育館に向かうよう伝えます。
当然のようにばったり会う二人。
「どうした?」
「菖蒲ちゃんに頼まれて」
「手伝うよ」
二人は、体育館の二階部分へ。すると、そこからそとのキャンプファイヤーの様子が見えました。
「ちょっとここで見ていこうよ!」
「…確かにちょっと疲れたな。ゆっくりしていくか。」
「年がら年中走り回ってる大喜でも、疲れるとかあるんだね。」
「バス移動のお嬢ちゃんとは消費エネルギーが違うんだよ。」
そんな他愛もない話をする二人。けれど、雛のまとう雰囲気が変わったことに、大喜は気が付きます。
「ねえ大喜、王様ゲームの時、本当はなんて答えるつもりだったの?」
「私一瞬、千夏先輩が好きって言っちゃうのかと思った!でも大喜、意外とヘタレだしなあ。あ!別に告白してもいいんだよ、最初からそう言う約束だったし。正直校ズキっと来ることもあるけどさ、」
「そんなことがへっちゃらなくらい、大喜のこと大好きだから!」
満面の笑みで、そういう雛。
「そろそろもどろっか!!菖蒲ちゃんになかったって伝えないと!」
さっと立ち上がり、戻ろうとする雛。
「雛」
「ん?」
「ごめん。」
「…ごめんって、なにが?」
「雛とは、付き合えない。」
二人だけの体育館に、声が響くのでした。
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