54話「水分補給」
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雛のキスする?発言に不意を突かれた大喜は、それでもしっかり「しないよ」と答えます。雛はわかっていたというようにいつも通りの調子を取り戻すと、「これも雛様の戦略だから」と言って、そのまま教室を後にしました。
「あーっ、もー…」
なんとか平然を装ったものの、大喜は、雛が居なくなった後一人雛の表情を思い出してうずくまります。やはり、意識しないわけないはいかないよう。
バドの方では、大喜は順調に力をつけつつも、一番の実力者である針生先輩との差は縮まりません。どころか、前よりも点差が開くように。
「大喜。自身ないやつの羽根は、俺には効かんぞ」
それだけ言って、すたすたとコートを去る針生先輩。意味が分からないと思いつつ一人思案する大喜。ふと体育館をみやると、雛と千夏先輩は練習中。
IH出場を決めた二人と、自分との差を改めて思う大喜は、「不甲斐ないよな」と感じるのでした。
さて、休憩中、針生先輩と千夏先輩が邂逅します。
「ちーお疲れ、バスケ部は夜連?」
「おつかれさま、ないけど文化祭の方で残らないといけなくて」
そんな二人の会話は、自然と大喜のことに。
「朝練までしてストイックだよな」
「朝練なら猪俣君もしてるよ。」
「あいつはストイックと言うより、真面目なんだよな。勝ちたい奴がいて、そいつを目標にすると、できないことばっかに目が言って自分をほめられなくなったりするだろ?」
「そんな水なしで砂漠を進むようなこと、しなくていいのに。真面目過ぎる故に、水分補給を忘れてんだよ。」
そういう針生先輩に、千夏先輩は何かを思う表情を見せます。
「そのくらい、早く前に進みたいって気持ちはわかるよ。諦めたくなかったら、足を動かし続けるしかない。立ち止まるのが、一番苦しいから。」
家族の元を離れてまで、バスケに打ち込む千夏先輩のその言葉は、自身のことを重ねているようでもありました。
「そんなに心配なら、水分を差し入れてあげればいいんじゃない?それも先輩としての務めだよ」
「俺が欲しいくらいなんだわ」
そういって別れる二人。
その後、律儀にペットボトルを持った針生先輩が大喜のところへ行くと-
「カレー食っとるんかい!」
文化祭の試作品としてどこかのクラスが作ったカレーを食べていた大喜。しかし針生先輩が戻ってくると、すぐさま臨戦態勢になり、コートへ向かうのでした。
―今の俺は、ふがいない奴だ。雛の告白も、どう動けばいいのかわからなくて、部活も、俺だけが上手く進めない。だから、せめて。
そしてついに、宿敵遊佐君との練習試合の日がくるのでした。
アオのハコ54話感想
まずは冒頭のシーン、雛はとにかくガンガン攻めるスタイルですね。大喜がキスしない、と返事するのは既定路線でしたが、それでも強烈な印象は与えたようです。よかったね、雛。
そして針生先輩、とことんいい先輩になってます。どんだけ大喜のことを心配してくれているんだ。千夏先輩との会話も、「上級生」って感じがしてとてもよかったですね。
その千夏先輩は、他の人の前では「猪俣君」とちゃんと使い分けができていて、小さいところですが面白かったです。彼女も前に進もうと努力し続けるタイプなので、自分のことのように思えたのでしょう。
このような会話は、ただのラブコメでは中々ないもので、スポーツ要素があるからこそ、という内容で個人的には好きです。すべての読者が雛と千夏先輩とのラブコメを望み、バドなんてどうでもいいと思おうとも、僕はバド描写を応援し続けます。
そして、最後の大喜のモノローグですが、「せめて」の後には、「足を止めてはいけない」
「前に進み続けなきゃいけない」などの言葉が入りそうです。
次回はついに遊佐君との決戦。正直とても期待してます。
それでは、また次週!
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