アオのハコ78話
合宿最終日。針生先輩と試合をする大喜。一方、菖蒲は雛がフラれたことを自分のせいだと考え、ひとり落ち込んでいました。そこに現れたのは匡。
「どうかした?」
「笠原君には関係ないですぅ」
「もしかして大喜と蝶野さんのこと?...そっか、大喜返事したんだ。」
匡も思うところがあったのか、そういいながら遠くを見やるのでした。
一方、大喜たちの試合は針生先輩のペースで進みます。
匡と菖蒲はなおも話を続けます。
「私には理解できないよ。そもそもいのたに好きな人がいるって言うのは初耳だったけど、それでもあんな好きになってくれる子なんてそういないでしょ。」
「友達として大切なのと、恋愛として大切なのはやっぱり違うもんなんでしょ。仕方ないよ。」
「そんな軽い言葉で…」
「しか言えないでしょ。どこまで行っても俺たちは外野で、大喜の決めたことだ。」
また遠くを見やる匡。
試合は結局、針生先輩の勝利に終わりました。
「俺さ、正直、お前と試合するの怖かったんだよね。だせえよな。兵頭さんには勝てずじまいで、遊佐君にも負けて、そのうえ大喜にまで負けたら、さすがの俺も自信なくしそうだったから…ま、俺が勝つんだけど。」
「試合してよかった。いつまでも逃げてる方が情けねえしな!
そんな針生先輩の話をかみしめながら、合宿は終わるのでした。
そして、家につく大喜。そこには、千夏先輩が。
「千夏先輩」
「大喜君おかえり。」
「ただいま。千夏先輩もですよね、おかえりなさい。」
大喜も、逃げずに戦うことを決めて。
「千夏先輩、次の休み、二人でどこか出かけませんか?」
そういうのでした。
アオのハコ79話
「どこに?」
当然ですが、そう聞かれます。
「へっ!?」
―ど、どこ行こう、遊園地とか露骨すぎるよな、水族館は前に行ったし、買い物?最近ほしいものは…
「ジャージ!ジャージ買いに行きたくて!」
ひねり出した答えの色気のなさに自分でも突っ込む大喜。ですが、
「いいよ。」
千夏先輩はそう答えました。
「その代わり、私も生きたいカフェがあるんだけど、行ってもいい?」
「え…はい、もちろん」
そうして、デートの約束が決まるのでした。
その夜、部屋で一人悶々とする大喜。
-漢見せろ、おれ!告白だって…するチャンスだ。
そう、雛の本気の姿を、思い出しながら考える大喜でした。
体育館での練習が再開し、バド部もバスケ部も、新体操部も集います。が、雛は大喜を見かけても、話しかけたりはしません。
そんな大喜に、菖蒲はイライラしている様子。
「あの、合宿後から何か起こってます?」
「別に何も???」
「ただ、蝶野さん泣いてたよ。」
それを聞いて、うつむく大喜。
「わかってる」
「わかってる?多分猪俣くんの思ってる百倍は傷ついてるよ。それでも平気なふりをして…」
いいかけて、菖蒲は大喜の表情に言葉を無くします。
「それでも俺の方から雛に声かけることはできないよ。」
大喜はそういいます。
「いのたの好きな人って、そんなに魅力的なの?」
その菖蒲の質問に答える前に、練習が始まるのでした。
一方雛は、なぜか着ぐるみの頭の部分をかぶって一人座っています。
「何それ…」
「うさみみちゃん。文化祭で作ったやつ。視界を暗くすることで集中力が増加する仕組みになってるの。」
部員にはそう説明しますが、その中では涙を流している雛。
―体育館爆破したい。フラれたからって部活休みたくはないけど、大喜と千夏先輩と、同じ空間にいるのは息苦しいよ…
約束の日。あわただしく部活から帰る大喜に、珍しいとばかりに疑惑の目を向ける部員たち。
「デートじゃね?」
「あいつに限ってそんな裏切り」
「…え、マジ?」
匡と針生先輩は、大喜の事情を察した様子でした。
「いつまでうだうだやってんだと思ってたけど、突っ走ってる方があいつらしいな。」
先輩はそういいます。
そして、大喜と千夏先輩の、デートが始まろうとしていました。
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