本編の内容
更新が遅れましたことをお詫び申し上げます。
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62話「なんて言いました?」
バンドが始まるぎりぎりで、やっと到着した千夏先輩。すると来るや否や、もっと前に行こうと大喜に言います。ノリノリの二人。バンドの大きい音にかき消されながらも、カッコいいですね、と先輩に伝える大喜。
そして、大喜は意を決して気になってたことを聞きます。
「千夏先輩、なんで今日誘ってくれたんですか?」
すると、先輩は一瞬ぽかんとした表情。聞こえなかったか、と演奏に向きなおろうとする大喜。
「それは―」
何か言った千夏先輩の声は、しかし演奏の音にかき消されてしまいます。もう一度聞き直そうとするも、NO,と首を振られてしまう大喜。結局、聞くことができないまま演奏は終わり、二人は解散することに。
「大喜くんのクラスの劇は15半からだよね。ど真ん中に席取るね。」
そういって別れ、大喜は準備へと向かうのでした。
「王子役の南山さんが病院に!?」
「ここにいる人はみんな仕事が…」
「あ」
大喜に、大きな試練が訪れようとしているのでした。
63話「力を貸してよ」
「やっぱり無理だって!そうだ、匡は―セリフ覚えて」
「委員会の方に呼ばれたわよ。」
「お願い、皆の練習を無駄にしないように引き受けてくれないかな」
ふと大喜が雛を見ると、その瞳は不安げ。今まで必死に練習してきた雛を観てきたからこそ、大喜は簡単に「ムリ」などとは言えません。
「あーもうっ!わかった!やるよ!やってやるよ王子役!」
「セリフ忘れてもフォローしろよ!」
「うん!」
準備に取り掛かりながら、大喜はキスシーンに想いを馳せます。
(わかってる。フリをすればいいだけ。だけど、意識するなっていうほうが無理で…ぎこちなさを出さないように…)
ふと、千夏先輩に「自分は出ない」と言ってしまったことを思い出す大喜。結果的にまた嘘をついてしまったことにもどかしさを覚えます。
観客席では、千夏先輩や針生先輩、花恋さんらが座って開演を待っています。
「健吾の知り合いは出てるの?」
「出ないけどリーダーと衣装を」
「出るよ。」
「猪俣大喜くん。王子役やるんだって」
丁度千夏先輩に大喜からの連絡が届き、それを伝える大喜。
「大喜が!?王子役!?」
バド部の先輩はそれに大驚き。ニヤニヤしながら開演を待ちます。
「でもなんで鹿野さんが知って…」
千夏先輩は、そのケータイ画面を意味ありげに見つめるのでした。
一方再び舞台裏。大喜は緊張とキスシーンでもやもや。
「ちょっと緊張しすぎなんじゃない?」
そこにやってきたのは、雛。
「お前は緊張しないのかよ!」
「…緊張はしてるよ。ましてや相手が大喜だとは思ってなかったから。だけどね。主演をやらせてもらう以上、自分なりに責任もって練習もしてきたんですよ。だから、
今は親友として、全力で力を貸してよ!」
そして、いよいよ白雪姫が開演するのでした。
64話「親友として」
劇は大喜がガチガチになりつつも、おおむね順調に進行していきます。舞台裏では、菖蒲と呼ばれる新キャラが、アレンジ版白雪姫の展開について口をはさむ様子が。大喜たちのクラスの劇では、王子様が序盤から登場しますが、それは「ポッと出のキャラが結ばれるのは良くない、と言う理由から。それに対し、菖蒲という生徒は
「もっと軽く恋愛したほうが楽しくない?」と言うのでした。
そんな間に、キスシーンへ。大喜は無事役目を終え、劇も終幕へ―と、その時。
「危ない!」
頭上のくす玉が、雛の元へ落下してきます。それをかばおうとした大喜が雛に覆いかぶさり…
二人の唇が、触れ合うのでした。
65話「そこじゃない」
「だから当たってないんだって!紙吹雪でそう見えたかもしれないけど、ぎりぎりのところで停まってたから!」
「そうなの、蝶野さん?」
「そうだよ」
そう二人が言うも、外野の冷やかしは止まりません。
「噂になってたぞ」
「姫と王子だしなあ」
「劇の息も合ってたし」
「茶化すようにそういう話されるの、イヤだからやめてほしい。」
そんな身勝手な言葉に、大喜はそう返すのでした。
「大喜、ごめん、変な噂たっちゃって。」
「雛は悪くないだろ。むしろごめん、劇成功させられなくて」
「そんなことないよ!セリフも思ったより覚えてたし。最初は緊張してたけどだんだん良くなって、堂々としてたしそれに…それに…っこの私に見劣りしてなかったぞ!褒めて遣わそう!」
「なら課題やってもらう褒美貰うかな。」
「バツだらけでいいなら。」
「―けど、もし必要なら、キスしてないって千夏先輩に説明するから言ってね!」
「え?」
「やっぱり嫌でしょ、こんな勘違いされるの。大喜あんなに怒ってたしさ。フェアな戦いしたいから!じゃあね!」
そういって去っていく雛。
大喜が怒っているのは、千夏先輩に勘違いされるのを恐れて、だと思ってそういう雛。
しかし、そうではないんだけど、と思う大喜でした。
その後、匡が買ってきてくれた焼きそばで、二人打ち上げ。
「みんなキスキスって!まず劇のこと褒めてくれよ!」
がっつきながら、そう愚痴をこぼす大喜。
「雛も、俺が怒ってたのは千夏先輩についてって思ってるし。」
「違うのかよ」
「それ以上に、じっさいなにか言われてるのは俺と雛だろ。俺は、今の雛との関係って曖昧で、どうすればいいのか慎重になることもあるから、それを他人に何か言われるのがすごく嫌で。まあ俺が勝手に怒ってるだけだけど」
「一つ聞きたいんだけど、蝶野さんのこと、恋愛的に好きになってはいないの?」
その匡の言葉に、え、と固まる大喜。しばし考えるも、すぐに、「俺が好きなのは千夏先輩だよ」と答えます。
「そうだよな。いや、大喜って100パーセント千夏先輩って感じだけど、そこに蝶野さんへの気持ちが、三割くらい上乗せされることもあるんじゃないかって思って。」
「……………頭いてえ」
「どんなに痛くても、ちゃんと考えろよ」
そうして、文化祭は終わりを迎えるのでした。
大喜が家に帰ると、そこには千夏先輩が。「おじいちゃんの手術が無事終わったから、またお世話になります。」
再び、ひとつ屋根の下の生活が始まるのでした。
感想
今回はまとめて四話です。多くなってしまい申し訳ありません。
文化祭がついに終幕しましたが、新キャラ、キス(未遂?)千夏先輩とのデートなど盛りだくさんでした。しかし、関係性は動いているようで大きく変わってはいないようにも見えます。
今後、誰と誰がどう絡んで、何が起こっていくのか。アオのハコは爽やかな物語だと信じていますが、きれいなところだけでは部活も恋愛も描けませんからね。どこに黒い、悲しい要素を織り交ぜていくのかも、作者の腕の見せ所になりそうです。
それでは、また次回!
次のお話はこちらから!
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