86話「憧れ」
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ユメカがいるバスケクラブに入ることになった千夏は、はじめは全くままなりません。ですが、コート内で華麗なボールさばきを見せるユメカに追いつこうと、必死に努力を重ねます。
「上手よねユメカちゃん。あの子は才能あるわ」
コーチはそういいますが、
―コーチは才能って言ったけど、この中で一番夢佳ちゃんが、ボールに触ってる時間が長い…
そう思って一層バスケに向き合う千夏ですが、やはり初心者だからかなかなか上達しません。
「新しい子全然うまくならないよね。」
「鹿野さんだっけ?ゴールにも届かないんだもん。」
そんな会話をする、同じクラブに通う子たち。そこにはユメカもいましたが、
「私先行くわ」
そういうと一人体育館へ行ってしまいます。
「ユメカってあんまりこういう話乗って来ないよね。」
「きっとあの新しい子も、私たちも同じに見えるんだよ。夢佳は天才だから」
同級生の子たちはユメカが去るとそんな話をするのでした。
さて、体育館についた夢佳。なんとそこで、ひとり練習する千夏を目撃します。
そのあまりの下手さに思わず口をはさんでしまうユメカ。すると千夏は、「もっと教えて」モードに突入します。
結局、それからも努力を重ねた千夏は、見事チームのユニフォームをもらうことに。
「むかつく!なんであの子にスタメン取られないといけないの!私の方が先にバスケ始めたのに!あんなのおなさけのユニフォームでしょ!」
案の定そういうチームメイト。それを部屋の外で聞いてしまう千夏。
「愚痴ってないで練習すればいいじゃん。少なくても千夏はそうしてたよ。その積み重ねが今回のユニフォームなんじゃない?」
「私は才能あるから才能にあこがれる気持ちはわからないけど、あの努力できる力には、あこがれるけどね。」
―嵐みたいな子だった。この子についていけば、大丈夫って思わせる…
「憧れだった。夢佳みたいになりたいなって。練習も頑張ったけど…」
そういって遠くを見やる千夏先輩。
「今でもたまに思うんだよね。このチームに、夢佳がいてくれたらって。」
冷える冬の道、そうこぼした千夏先輩。
―個人競技もチーム競技も、関係ないんだな。みんなやってるんだ。自分との戦いを。
大喜はそう思うのでした。
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