88話「このままじゃダメだよ」
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「あーうざいうざうざい。その俺正しいですって顔、腹立つ…」
「もうナツと関わることもないんだし、ほっといてよ。」
「最初に嫌な感じで絡んできたのはユメカさんじゃないですか!」
「あれは全国制覇するとか言ってたのに遊んでるから。人一倍練習したからこその実力なのに、遊んでて上に行けるとは思えない。」
―それって、千夏先輩のこと、心配してるからじゃ…
夢佳のあの態度は、千夏先輩を心配しているが故のものではないか、そう思う大喜。
―やっぱりこの二人、このままじゃダメだよ。
次の日、寝坊したお母さんの手伝いで千夏先輩のお弁当を詰める大喜。その後体育館へ向かうと、すでに練習する千夏先輩たち女バス。
「バスケ部大会近いんだっけ。こっちにまで緊張感伝わってくる。」
「うん。わかるよ。」
総友人と話す大喜。
「おはよ」
「おはよ」
そこに来たのは雛たち新体操部。大喜とそっけない挨拶を交わしてさっさと行ってしまう雛。
「安心して。あんな態度だけど、新体操は絶好調だから。」
そう雛の友人がいいます。
「思ったより、雛の人生に猪俣は影響しないみたいね。」
場面は変わって。千夏先輩が、大喜が持ってきたお弁当が部室前に置かれていることに気が付きます。
「千夏、急がないと」
「うん」
お弁当を見て一瞬ほほを緩ませた千夏先輩は、すぐに練習へ戻るのでした。
「祐奈、今いい?」
「さっきのプレーなんだけど、自分で決めに行ってもよかったよ。慌てる必要はないけど、もっと攻めてもいいと思う。練習だって、朝でも練習後でも付き合うよ。」
「ごめん!わかってるから!実力不足ってことも、皆の足引っ張ってることも…だけどみんながみんな、千夏みたいに努力できると思わないでっ」
「…ごめんっちょっとテンパって」
「ううん。私も完璧じゃないし。一緒にがんばろ。」
「また一番に来たの?サボってゲームしたいとか思わないの?」
「だって私皆より始めたの遅いから。他のことしてられないよ!」
「そう思っててもやれるかは別だから、それができるのはナツの才能だね」
そうユメカに褒められたことを思い出す千夏先輩でした。
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