66話「話なら聞くぞ」
前回のお話はこちらから!
文化祭も終わり、家に戻ると千夏先輩がいて驚いた大喜。
「明後日から戻ってくるんですか。」
「うん、今日は花恋の家に泊まるから。」
そんな何気ない会話をしながらも、大喜は文化祭の劇のことが気になっている様子。しかし、なかなか聞くことができません。と、そこに大喜の母親がもどってきます。
「いやー参った参った。ポップコーン食べながら買い物から帰ったら、ちーママが玄関前に中身ぶちまけちゃって。」
「片づけ手伝います」
「悪いね」
そういっていってしまう千夏先輩を、大喜は呼び止めました。
「千夏先輩!文化祭の、劇の事なんですけど…」
しかし、言いかけた大喜の口を、千夏先輩がお菓子でふさいでしまいました。
「美味しいでしょ」
そういうと、何も言わせぬまま去ってしまうのでした。
次の日、いつも通りの体育館。
「大喜、話なら聞くぞ!安心しろ、俺はわかってる。大喜がキスしてないってことも、ましてや付き合ってるなんてガセ…………ガセだよな!?」
開口一番そういってきたのは部長の西田先輩。大喜が噂になっているのを当然知っていて、それを何とかしようという事でしょうか。しかし、後輩に抜け駆けされたくないという私情もはいっています。
「観てたんですか?」
「部長として当然だ。2,3年の方でも噂になってたぞ。まああの新体操の子有名だし。」
そんな話をする二人の目線の先には、練習中の雛。すると、雛も視線に気が付きます。
「観覧料4000円。」
「前より値上がりしてる!?」
「違うよ、二人分だから。」
「俺も!?」
「冗談ですよ」
そういって、また練習に戻る雛でした。
「今の二人でしょ?付き合ってるって噂の。」
「それガセらしいよ。」
「えーそうなの?」
などと、体育館でも二人の噂がちらほら。
しかし、一方の千夏先輩は、二人の噂もよそにシュート練習。少なくとも表面上は、気にしていないように見えました。
さて、花恋さんの家に泊まる千夏先輩。他愛もない女子トークで盛り上がります。が、話題は自然に部活のこと。
「皆部活部活って。健吾もしばらく部活が忙しいみたいで。こういう時冷たいんだよね。」
「そんなこと言って、部活より自分優先されたら怒るくせに。」
「当然でしょ、私を言い訳にされたら嫌だもの。それに結局、バドやってる時が一番カッコいいって思っちゃってるからね。」
そういう花恋さんに、千夏先輩も思うところがあるようでした。
「そういえば、一応頼まれたから聞くけど、私の友達でちーを紹介してほしいって男の子がいて」
「遠慮しとく。知らない人と話すの苦手だもん。」
「ホント恋愛事興味ないよね。」
「皆がませてるだけだよ。」
「でもたしかに、私は他の子より上手じゃないかも。」
その言葉に、何かを察した花恋さん。
「もしかしてちー、気になる人でもいるの?」
「うん。いるよ、気になる人。」
すこし頬を赤らめながら、そういう千夏先輩でした。
66話感想
文化祭も終わりましたが、最後に一波乱起きたためそわそわした雰囲気。大喜と雛の関係は、一部ではガセだと訂正されているようですが、それでも「付き合ってる」を信じる人は一定数いそう。
雛は新体操部期待の新人で注目度も高く、ゴシップのネタとしては(あまり良い言い方ではありませんが)申し分ないでしょう。しばらくは根も葉もないことが言われてしまうかもしれません。雛に、本当に逆境すぎる、この作品。
しかも、雛が大喜に恋心を抱いているのは事実なわけで、今後雛が何か大喜にアクションを取ろうとするたびに、周りの噂と戦わないといけなくなります。厄介なことこの上ない、ひどいよ作者。
一方の千夏先輩は、心の内で思うところはあるようですがそれを大喜に言う事はしません。しかし、今回ハッキリ「気になる人がいる」と宣言しました。この相手が大喜でなかったら話が成り立ちませんので大喜なのは確定でしょう。
しかし、予想より早く千夏先輩の内心を描きましたね。もっと引っ張ると思っていました。おそらくダラダラとやるよりテンポよく進めたいのでしょう。
大喜も大喜で、雛のこと、千夏先輩のこと、バドのこと、いろいろと悩むことがあります。まさに思春期、青春と言う感じ。素敵な作風です。
今後もアオのハコに期待していきましょう!それでは、また。
次のお話はこちらから!
コメント