はじめに
現在(2022年)週刊少年ジャンプにて連載中の人気漫画「アオのハコ」
本日は、その読み切り掲載時の内容を解説、紹介したいと思います!本編とストーリーとしての繋がりは無いものの、設定の違いやキャラクターの描写の違いなど、現在連載しているストーリーとはまた違った雰囲気が楽しめる作品です。
ちなみに、青い下線が主人公猪俣大喜のセリフ、赤い下線がヒロイン鹿野千夏のセリフとなっています。
実際に読みたい方向けに、読む方法も解説しておきますので、ぜひご覧ください。
それでは、どうぞ!
アオのハコ 読み切り版
―俺の青春は、この箱に詰まっている。
「おはようございます!」
「おはよう、今日は一段と早起きだねぇ」
「大会近いんで、少しでも練習したくて。それに、勝ちたい人がいるんで!」
そう校門の先生と会話を交わし、駆け足で体育館へと向かう大喜。今日こそは一番乗り、と思い込んで扉を開けると、そこには―
「あ」
「すみません!」
着替え中の女子生徒が。
「私の方こそ、早い時間だからって油断してた。ごめんね」
その生徒、鹿野千夏先輩はそういって、何事もないかのように練習を始めるのでした。
―うちの学校には、運動部、文化部合わせて12の部活がある。そのうち五つの部活が体育館で活動し、朝八時半まで自主的に朝練をする。その中で特に早く来るのが、俺猪俣大喜と、女バスの部長、鹿野千夏先輩だ。
「俺、千夏先輩に告ろうと思う」
「やめとけ。お前のその猪突猛進さは長所だけど、相手は千夏先輩だぞ?」
クラスで大喜をそう切り捨てたのは、友人の匡くん。
「女バスの部長、人柄もいい、モデル並みの顔とスタイル。向こうはシード校で、お前は一回戦敗退校なんだよ。」
「わかってるよ、そのくらい。でもやっぱ戦わないで敗けるなんて、イヤだし。」
「...じゃあせめて、二回戦進出を目指せよ。名前を覚えてもらうとか、何かアピールしてさ。」
それを聞いた大喜は、早速行動に取り掛かります。
千夏先輩も同じ体育館で連取しているので、自分が部活にがむしゃらに、ひたむきに頑張る姿を見せてアピールしようとします。休憩時には雑用もこなし、できる限りのアピール。
―まあ、どうせ先輩は見てないんだろうけど…
と思った矢先、ドリンク補充のために行った水道で千夏先輩と遭遇します。
―どうしよ、なんか話しかけてみる?やっぱまずは自己紹介?
などと戸惑いながら様子をうかがうと、どうやら千夏先輩はポカリスエットの粉が入った袋が開けられないようでした。
「開けましょうか?」
「いいの?」
「任せてください。このくらいよゆー…あ」
と、勢い余って袋をびりびりに破き、粉を霧散させてしまった大喜。それを見た千夏先輩は思わず吹き出します。
「すみません」
「いや、こっちこそゴメン、笑っちゃって。君って結構ドジな人だよね。さっきも顔面にボール当たってたでしょ」
「見てたんですか!?」
それを聞いて、かっこ悪すぎる…と嘆く大喜。
「でもどうしよ、これじゃ部活もどれないよね。」
と、大喜の頭についた粉を払う先輩。その服の袖から、肌がちらりと見えた大喜は、今朝の着替えのシーンを想像してしまいます。
「大丈夫です!丁度頭冷やしたかったんで!」
慌てて頭から水をかぶり、邪念を振り払う大喜。
「わあ、男子って感じ。じゃあ、私もどるね。またね、大喜くん。」
「なんで名前!?」
「知ってるよ、毎朝見かけてるし」
それだけ言って去ってしまう先輩。大喜は、「シード校強ぇ…」と思わずにはいられませんでした。
さて、次の日。いつも通り体育館で朝練しようとすると、千夏先輩が居ません。どうしたのだろう、時になっていると、体育倉庫の掃除を一人でする先輩を見かけます。
「手伝います!」
「え、いいよ。せっかく朝早く来てるのに」
「ダメです、ここで手伝わないとか、俺の自尊心にキズがつくんで。」
「そういわれると断れない。」
「じいちゃんが良く言うんです。それは自尊心的にNGって。」
「おじいちゃんっこなの?ポイね。なんか真っすぐっていうか。」
「先輩は、どんな家族なんですか?」
「お兄ちゃんがいるよ。」
「ポイです。」
「言いたいだけでしょ。」
「いやホントに。だって先輩、負けず嫌いじゃないですか。」
「え、私が?」
「だって朝練いつも一番に来てるし。」
「それは私の目標が、誰よりもたくさん練習する、だから」
「その目標掲げてる時点でめちゃくちゃ負けず嫌いですよ。それに俺、決定的瞬間見てるんで。」
「決定的瞬間?」
「一年前、先輩の一つ上の引退試合の翌日の事です。俺は部活入りたてで、先輩の引退より自分の事しか考えてなくて、いつも通り朝練に行ったら―」
そこで大喜が見たのは、号泣しながらシュート練習をしていた千夏先輩。
「その後、二年の千夏先輩が試合に出てて、僅差で敗けたことを知って。」
「最悪だあ、あれ見られてたなんて、恥ずかしすぎる…」
「いや、俺はかっこいいって思ったんです!それだけ真剣にやってるんだって!」
「…うん、ありがとう。」
「それで千夏先輩」
「千夏、こんなところにいた。」
いいタイミングで入ってきたのは、男子バスケ部の部長。そのまま千夏先輩と話し始め、大喜は置いてきぼり。その二人の姿を見ているうちに、ある不安がよぎるのでした。
「交際秒読みって噂だぞ。あくまで噂だけど。」
「マジで!?」
匡くんからそういわれる大喜。
「バスケ部の部長同士、交流も多いだろうし、相手はイケメン高身長。超強豪校登場って感じだな、どうするんだよ。」
「そりゃあ、ここまで来たんだ。俺は最期まで戦い抜く!」
どんな人が相手でも、もう止まらない大喜。その日の部活も全力で取り組み、帰って作戦を立てようとしますが―
「よびだしてごめん。俺と付き合ってくれないかな。」
男子バスケ部部長が、千夏先輩に告白している場面に遭遇してしまうのでした。ダメだとは思いつつ、そのまま聞き耳を立てる大喜。
「ごめん」
「今は部活に集中したくて、誰とも付き合う気はないんだ。」
千夏先輩はそう答えます。
―なんだよ、それ、そんなのずるいだろ。こっちは、毎日毎日千夏先輩が頑張ってんの見てるんだぞ。関先輩にじゃなく、部活に敗けるなら、しょうがないって思っちゃうじゃん。
…結局、不戦敗かぁ。
そう思う大喜でした。
次の日、気まずさから大喜は朝練を体育館からトレーニング室に移します。千夏先輩とは、放課後の部活で顔合わせ。しかし、なぜか女子バスケ部の中に千夏先輩の姿がありません。が、探す間もなく部活が始まってしまいます。
ようやく休憩になっても、ドリンク補充をしに行く大喜。するとそこに、千夏先輩ではない女バス部員が数名話しているのを見かけます。
「ホントむかつくよね。」
「千夏さあ、関にこくられたらしいよ。なんであいつが」
「部長だからって偉そうにしてさ。調子乗ってるよね。」
「ちょっと顔がいいからってさ、大した努力もしてないくせに。」
誰よりも千夏先輩の頑張りを知っている大喜は、その言葉に耐えきれなくなって口をはさみます。
「そんなことないです。」
「え、なに。君バレー部だよね。」
「バレー部だけど、千夏先輩のことは知ってます。毎日一番に朝練に来て、雑用なんかも率先してやって、部活では誰よりも声出して走り回って。千夏先輩は何よりもバスケが好きで、バスケ部が好きなんです。だから、先輩の大切な部活の部員が、先輩を傷つけるようなこと言わないでください。」
そう一気にいう大喜。
「うん。ってゆーか、今の関の話だし。」
―え?
「いちいちむかつくんだよね。上からだし。良く千夏に告れたよね。」
千夏先輩の悪口を言っていたと思ったのは、大喜の勘違い。女バスの部員たちは、男バス部長のことを話していたのでした。
―もしかしておれ、突っ走った!?
「でも千夏のこと、そんな風に言ってくれる人が、私たち以外にいるなんて嬉しいよ。ね、千夏。」
タイミングが良いか悪いか、丁度千夏先輩が現れます。
「進路面談お疲れ、先に戻るわ。ごゆっくりー」
「…君ってホント、真っすぐというか、猪突猛進とゆーか。」
「反省します」
「いや、いいと思うよ、そのままで。」
「…じゃ俺戻るんで」
「待って!…大喜くん、私に言いたいこと、ない?」
「陰口は良くないって、皆さんにお伝えください。」
「うん、ごめん…」
「あとは無いです。部活の邪魔、したくないんで」
「もしかして聞いてたの!?」
「俺だって聞きたくなかったですよ!」
「だって、今まではそうやって断ってきたから」
「今までは?」
「最近は、その人に会うためなら、朝起きるのも億劫じゃないかもなー、とか、部活中も相手が頑張ってる姿観て、私も頑張ろうって思えるなーとか、試合に敗けて悔しがって号泣してる姿も、その人になら見せられるな―とか。」
「そんなことを、考えていたわけですが…」
―
「千夏先輩、好きです。付き合ってください。」
「はい」
刹那、唇が触れ合う二人。
「…なんか、凍らせたポカリの、溶け始めの味がする」
はあ!?
やっぱり、シード校は強い、と思う大喜でした。
―俺たちの青春は、この箱に詰まってる。それぞれの、青春が―
アオのハコ読み切り感想
僕はこの読み切りが掲載された際、本誌のアンケートで一番をこの作品にしました。それが今では大ヒットしているのを見ると、感慨深いものがありますね。
さて、現在連載中のアオのハコと、この読み切り版では、いくつか相違点があります。
まずは大喜の部活。バドミントンではなくバレー部所属になっていますね。そして、キャラの性格も微妙に違うのは、わかっていただけたでしょうか。
また、絵もかなり違います。連載版の方がずっとキレイです、当然と言えば当然ですが。しかし、この読み切り版のタッチは、まさに「アオのハコ」を描くのにふさわしい爽やかな画風で、こちらもとても好きです。
あとは雛が出てこなかったり、学年の設定が違ったり、など差異がありますね。他にもあると思います。
そして、読み切り版と言うことで、先輩との恋が実るまでを描き切っています。キスまでするとはなかなかですが(笑)
なんといってもラストの、「凍らせたポカリの溶け始めの味」はジャンプキスシーン史に残る名言と言えるでしょう。シード校すげえ。
他にも語りたいことはたくさんありますが、長くなってもあれなので、感想パートはこのくらいで。
アオのハコ読み切りを読む方法は?
アオのハコの読み切り版は、週刊少年ジャンプ2020年35号を購入すれば読むことができます。
しかし二年前の雑誌、当然紙媒体としてはフリマアプリなどでしか手に入れることができません。アマゾンで検索してみても、千円近くしてしまいます。では、読む方法は無いのでしょうか。
それが、あります。「ジャンプ+」というアプリなら、通常の雑誌と同じ290円で購入することができるのです!
僕はアプリ版で購入したので、アプリ版での手順をご説明します。(web版で購入できるかは不明)
- アプリをインストール、開く。
- 下のバーにあるボタンから、少年ジャンプを押す。
- 下へスクロールして、バックナンバーの「すべて見る」をクリック。
- 2020年の35号を探して、購入。
以上が流れです。なお、購入には他のゲームの課金同様の方法で支払いをする必要があります。iPhoneを使っている方ならiTunesカード、androidを使っている方はGoogleplayカードを購入するか、お持ちのクレジットカードの登録をして支払いができます。
アオのハコの読み切り版が気になった方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
終わりに
というわけで、今回はアオのハコの読み取り版の紹介でした。ちなみに、今回紹介した「ジャンプ+」という漫画アプリには、SPY×FAMILY をはじめ数多くの面白い漫画が連載されていて、なんと初回無料で全てを読むことができます。(連載中作品のみ)
おススメ漫画もこちらの記事(ジャンプ+おすすめ漫画)でいくつか紹介しているので、良ければぜひご覧ください。
それでは、また!
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